北信越支部について
北信越地方5県(長野、新潟、富山、石川、福井)で活動しています
活動方針
『支部会員の能力向上と支部の技術基盤向上を目指す』
例会及び総会の開催(開催月の第2土曜日、現地とWebのハイブリッド開催)
・3月例会(富山)
・6月例会(福井)
・9月例会(隔年で新潟または長野)
・12月支部総会・例会(石川) |
次回例会のご案内
次回は石川県金沢市で2026年12月に開催予定 |
2026年度 新潟県例会
9月リモート例会
2026.10
支部報告【北信越支部2026年度新潟県例会/9月リモート例会報告】
会員番号0947 梶川 明美(北信越支部)
以下のとおり北信越支部2026年度新潟県例会/9月リモート例会を開催しました。
・日時:2026年9月12日(土) 現地参加者:8名、リモート参加者:4名
・会場:現地会場 新潟市中央区礎町通3-2086 生涯学習センター(クロスパルにいがた内)
とリモート(Zoom)のハイブリッド開催
・議題:
(1)研究報告/意見交換
・新潟県のDX認定・DXセレクション政策とシステム監査人が果たすべき役割 藤岡恭平さん
・システム監査の今後を展望 栃川昌文さん
(2)情報交換
・今年度の支部合同研究会の発表内容について、ほか
◇研究報告
「新潟県のDX認定・DXセレクション政策とシステム監査人が果たすべき役割」
会員番号2863 藤岡恭平
【要旨】
新潟県では、DX認定・DXセレクション等を通じて、県内企業のDX推進を支援する取組が進められている。本例会では、新潟県におけるDX政策の全体像と取組事例を確認するとともに、地域DXを持続的なものとするために、システム監査人が果たすべき役割について考察した。
DX認定は、企業のDX推進に向けた計画や体制等の整備状況を確認する制度である一方、認定取得後の施策の実行状況や成果までを直接評価するものではない。また、自治体等による支援も、認定取得やシステム導入等に重点が置かれると、支援終了後に企業が自らDXを継続できる組織・人材・仕組みを構築することが難しいという課題がある。
そこで、地域DXを「認定を取得する」「支援を受ける」ことだけで終わらせず、企業が自らDXを継続・発展させられる状態をどのように定義し、評価するかが重要となる。こうした観点から、システム監査人が第三者の立場でDXの実効性、自走性、持続可能性を評価・支援することに、新たな役割と価値があるのではないかとの問題提起を行った。
【発表内容】
1.新潟県におけるDX政策の全体像
(1)DX認定・DXセレクション・デジタルガバナンス・コードの関係
(2)新潟県における地域DX推進の取組
(3)DX推進における産学官金等のエコシステム
2.新潟県におけるDX推進の成果と課題
(1)DX人材育成・企業伴走支援・モデル企業等の取組
(2)外部支援への依存と支援終了後の自走
(3)認定取得等の一過性・形骸化のリスク
(4)計画・認定と実際のDX推進成果とのギャップ
3.システム監査人が果たすべき役割
(1)DX施策の実効性を評価する「有効性監査」
(2)外部支援への依存度や社内へのノウハウ定着を評価する「自走性監査」
(3)DXを組織に定着させるための「持続可能性・ガバナンス監査」
(4)地域DXエコシステムの一員としてのシステム監査人の可能性
4.討議
(1)「自走できる企業」とはどのような状態か、その定義・評価方法
(2)地域DXにおいて第三者であるシステム監査人が提供できる価値
(3)地域でDX推進の成功事例を展開するための仕組み
【所感】
今回の討議を通じ、DX推進においては、自治体等が限られたリソースの中で成功事例を「モデル」として展開しようとする一方、支援を受ける企業側は必ずしもモデル企業になることを望んでいるわけではないという難しさがあることを認識した。また、県によってDX推進に対する温度感にも違いがあり、地域の企業・行政・支援機関等をつなぐハブとなる組織や専門人材の存在も重要である。
一方、DX認定やDXセレクションは、企業のDX推進を後押しする有効な仕組みであるものの、認定取得や支援の終了をゴールとするのではなく、その後も企業自身がDXを継続できる状態をどのように実現・評価するかが今後の課題であると感じた。
システム監査人についても、その役割や価値が地域DXの関係者に十分認識されていない面があるものの、DXの実効性や自走性、持続可能性を第三者の立場から評価し、企業や政策担当者にフィードバックすることで、地域DXエコシステムの中で果たせる役割は大きいと考える。今後、地域DXを支える第三者としてどのような価値を提供できるのか、引き続き支部会員間で議論を深めていきたい。
「システム監査の今後を展望」
会員番号1354 栃川昌文
【要旨】
内部監査は、事務不備の確認からリスクベース監査、さらに経営戦略や業務プロセスを検証する「経営監査」へと高度化している。システム監査でもDX戦略等を監査規準として捉え、ITだけでなく経営知識が重要となる。また、確率論的に振る舞うAIの普及により、新たな内部統制・監査手法が必要となる。こうした変化に対応するには、高度な専門性を持つシステム監査人の役割が一層重要となり、独立した専門職として活躍する時代が到来しつつある。
【発表内容】
�@内部監査の高度化
規程・事務ルール等の運用状況を検証する「事務不備監査」から組織内の業務プロセスの適切性・妥当性をリスクベースで検証する「リスクベース監査」へと移行し、経営戦略を踏まえ組織横断的に業務運営状況を機動的に検証し、経営の求める情報を適時に提供するとともに、業務プロセスにアシュアランスを与える「経営監査」へと内部監査に対する要求レベルが高度化してきている。
�A内部監査とDX認定の関係
監査人は、監査対象者の言明(監査のアサーション)をもとに証拠付けを行い、監査テーマの立証を行う。その際証拠付けの根拠となるものが監査規準であるが、「経営監査」における監査規準は中期経営計画といったものになると考えられる。システム監査においては、中期経営計画をもとに作られたDX戦略企画書のようなものになると思われ、経済産業省が推し進めている「DX認定」で作成されたDX戦略なども該当すると考える。いずれにしろ、IT分野に留まらず、経営に関する知識がシステム監査人に求められると思われる。
�BAI時代における内部統制
一方、企業内でAIが使われる機会が増え、システム監査においてAIを対象にすることが今後予想される。これまでのITは「決定論的」に振る舞う(結果は不変)ことを前提にIT統制が構築されている。ところが、AIは「確率論的」に振る舞う(結果に揺らぎがある)ことを前提に監査する必要があり、人を監査するのと同じになるのではと考えられる。
�C専門職としてのシステム監査人
以上の考察のように、これからのシステム監査の状況を鑑みると、社内の内部監査部門の人材だけでシステム監査を実施するのは困難な時代になってきている。高度なスキルを持った専門職としてのシステム監査人がその任を担うべきではと考える。経営者がシステム監査を含む内部監査に対する認識を変えることが前提にはなるが、システム監査人を職業にできる時代が到来しているように感じる。
【所感】
DXに代表されるようにITが経営に深く関与するようになっているが、DXでどれだけ成果が出ているのかが問われ始めている。一方、AIの進展によりAIを活用した経営改革も始まろうとしている。こうした時代において、ITが経営にどれだけ役立っているのかを客観的に評価することは重要であり、それを担うのがシステム監査人であると考える。理想論かもしれないが、システム監査の市場を創り出す大きな機会が訪れているのではないかと感じる。
【情報交換・意見交換】
上記報告を受けて、今年度の支部合同研究会の発表内容について議論するとともに、2027年に向けてDXからさらにAIガバナンスの在り方と、システム監査の貢献につき、支部として研究を深めていくことで意見の一致を見ました。
以上 <目次>
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