九州支部 例会の内容 [平成12年4月度](第118回)
日 時:平成12年4月15日(土) 15:00〜17:00
会 場:福岡市早良区百道2−2−1 早良区民センター 第3会議室
参加者:10名

[発表内容]
1.システム監査の領域 (守田昭彦氏)  
「帝京大学福岡短期大学 紀要 第12号」平成12年3月発行

(1)はじめに
・システム監査は昭和50年代の始め頃よりその必要性が提唱され、昭和60年  に、通産省から「システム監査基準」が制定・公表され、制度として確立した。
・こういった環境の中、システム監査の学問的および業務的領域に関して”システム監査とは何か”を問う基本的論議が発生した。両者ともまだ明確な結論が出てはいないが、本論文ではこれまでの研究の中から、改めてシステム監査の領域の問題を整理しようとするものである。

(2)システム監査の学問領域
・第17期日本学術会議への登録申請:経営学との関係が希薄という理由で却下。(第18期に登録される:平成11年9月)
・会計監査の領域:第17期は「システム監査は会計監査の分野」と判断された。
・システム監査の領域:見読できない磁気記録の増加、コンピュータ犯罪、システム監査を提唱する動き、SACレポート「システム監査の実施に関する要望書」
・会計監査とシステム監査の関係:会計監査は財務諸表に関わる部分を対象とし、システム監査はコンピュータを中心とするシステムの全般を対象とする。

(3)システム監査の業務的領域
・業務領域に関する論議の争点:システム監査の観点に有効性・戦略性の観点を取りいれるか、それをシステム監査の業務に含めるのが妥当か。
・有効性監査の推進:「システムアナリスト」新設、費用対効果、コンサルテーション領域、セキュリティ特化の考え
・システム監査の業務領域とシステム監査人の業務:両者の業務を区別しさえすれば並行して行うことができる。

(4)おわりに
システム監査がなかなか社会の理解を得られない、啓蒙不足、誤解。本論文での論議がシステム監査の目的や進め方を整理する上で役立つ。システム監査担当者は、さらに業務内容に関連した研鑽を積むことが要請されている。

(5)システム監査関連年表(昭和49年〜平成11年3月)

2.ISO 15408について(今回は資料の情報提供のみ) (福田啓二氏) ISO-15408 の特徴
・セキュリティ対策は脅威に対して有効な手段を提供するものを採用すべきであること。
・システムの利用環境に応じて自由にセキュリティレベルを設定できること。
・実施されるセキュリティ対策の内容の透明性を高めたこと。

3. 労働者派遣法改正 (行武郁博氏)  
労働者派遣法の改正(平成11年)について  
今回の、労働者派遣法の改正は、規制緩和政策の一環として、労働者及び使用者の多様なニーズに迅速且つ的確に対応すること、及びILO総会において、労働者派遣及び職業紹事業等の民間労働力調整事業についての国際基準第181号条約が採択されたことによるとされている。
本法は、平成11年7月7日  公布、平成12年4月1日から施行された。  今回の改正については、新聞報道によると、立法の意図に反して、雇用の不安 定化が進むのではないかとの疑問がだされている。ILO条約関連で、労働者  の個人情報保護が法律によって初めて規定されたことが注目される。 「ポイント」
・現在は26業種だが原則自由化にして、禁止する業種を定める方式に変更
・常用雇用者の保護(派遣の上限期間を1年間とした)もっぱら派遣の禁止(特定の企業だけに派遣するのを禁止)
・派遣労働者の保護  1)個人情報の保護 2)派遣労働者の社会保険加入  3)1年を越えるなら派遣先が雇い入れる(努力義務)  4)福利厚生面での派遣先責任(食堂の利用、健康診断など)  5)セクハラに関する管理
・この法律は3年後に見直す
・紹介予定派遣の制度が平成12年12月から始まる 4.その他
・「ITコーディネータ中間報告について」と「情報処理技術者試験の改革の方向性について」の意見交換(中谷正明氏提供) ・福岡水害調査報告書関係50部製本し九州支部会員及び関係先へ発送(守田昭彦氏、平山克己氏)