SO認定企業に対するアンケート集計結果
昨年末にSO認定企業に対して実施致しました、システム監査に関するアンケート結果の 集計・分析作業が終了致しましたので、その結果をご報告致します。 法人部会では、このアンケート結果を今後の活動の参考にさせていただきたいと考えて います。ご協力、ありがとうございました。

I.回収結果

配布:30社 回収:10社 回収率:33%

II.集計結果

1.システム監査の実施体制
(1)システム監査の自社内での実施
a.自社のみで実施:8社
b.自社を中心に一部を外部委託:0社
c.大部分を外部委託:1社
d.すべてを外部委託:1社

(2)自社内での実施体制
a.独立した監査部門を設置:4社
b.都度、委員会やプロジェクトを組織:2社
c.その他:3社

イ.システム監査グループ
ロ.監査委員会を組織し、実施は社内の専門部門に任せている。
ハ.システム監査企業の支援を受け、自社監査人の教育を含めて実施

●SO認定企業にはシステム監査の実施が義務づけられており、9割が自社内に何らかのシステム監査実施体制を持っている。この結果は、昨年度実施した会員所属企業向けアンケートと比べても、極めて高い率である。
しかし、自社内にシステム監査実施体制を持たず、外部監査企業に委託してもSO認定は取得できており、外部のシステム監査企業の活用も選択肢の1つに成りうることが分かる。

2.システム監査技術者
(1)自社内のシステム監査技術者数
最多:86人、最少:0、平均:21人
(2)実際のシステム監査業務従事者数
最多:17人、最少:0、平均:5人
(3)システム監査技術者数の変化
a.毎年増加:7社(1人:4社、1〜2人:1社、2〜3人:1社、10人:1社)
b.変化なし:3社
c.減少:0社

(4)システム監査技術者の育成方針・計画
a.明文化:2社
監査室執行基準
b.明文化されていないがある 3社
c.ない:4社

(5)システム監査技術者育成のための具体的施策(複数回答)
a.社内教育制度:3社
b.社内勉強会の奨励:5社
c.試験合格者への手当の支給:2社
d.試験合格者への一時金の支給:6社
e.その他:1社
個人の自主性、各組織ごとの必要性・自主性に任せている。

●システム監査実施体制と同様、SO認定企業はシステム監査技術者の育成にも力を入れていることが分かる。企業としての教育・奨励制度の充実がシステム監査技術者の育成・増強には不可欠である。

3.システム監査の実施
(1)すでに作成されているもの(複数回答)
a.システム監査規程:7社
b.システム監査中長期計画書:3社
c.システム監査基本計画書:8社
d.システム監査実施マニュアル:4社
e.システム監査チェックリスト:7社

(2)システム監査の実施頻度
a.1年に1回:1社
b.1年に2回:2社
c.1年に3回以上:3社(3回:1社、8〜10回:1社、12回:1社)
d.明確化していない 4社

(3)システム監査の実施サイクル
a.定期的:5社
b.不定期:4社

(4)システム監査の年間予算
最多:50百万円、最少:0.5百万円、平均:15.8百万円

●システム監査を実施するためのインフラとしての規定、マニュアル、計画書等の整備状況、およびシステム監査の実施頻度は十分なレベルにあるが、予算面は評価のむずかしい結果となった。システム監査人の人件費をどこまで含んでいるのかが回答企業によって違っていると考えられるが、人件費を含んで平均16百万円は少ないのでないか。

(5)主に使用している手法(複数回答)
a.アンケート調査:3社
b.ヒアリング:9社
c.チェックリスト:8社
d.作業現場の確認:7社
e.資料・記録の確認:9社
f.システム監査技法:2社
グループウェアによるモニタリング技法

●本調査で使用する手法としては、ヒアリング、チェックリストに基づく調査、資料や作業現場の確認などが中心であり、コンピュータを利用した監査技法はあまり使用されていない。

(6)システム監査テーマを決めるポイント
a.トップマネジメントの意向:4社
b.社内各部門の意識調査:0社
c.システム監査部門内の議論:3社
d.その他:2社
システム企画・計画部門のプランを基に監査部門と協議

(7)社内でのシステム監査に対する評価
a.非常に満足:0社
b.満足:4社
c.普通:3社
d.やや不満:1社
e.不満:1社

●システム監査の結果についてはそれなりに評価されているが、不満を感じているという回答もあり、その理由がどこにあるのか、さらに調査が必要である。

4.システム監査の実施内容
(1)システム監査の対象分野の割合(合計)
a.安全性:31%
b.信頼性:32%
c.効率性:20%
d.その他:2%
イ.有効性
ロ.総合的なバランスの観点

(2)効率性についての監査の主な観点
e.有効性:3社
f.経済性:2社
g.生産性:5社
h.その他:0社

(3)実施段階(割合)
i.企画:5%
j.開発:21%
k.運用:63%
l.保守:11%
m.その他:0%

●SO認定企業の業務の特徴を反映し、監査の主眼は信頼性と安全性、監査の段階としては運用段階が多くなっている。昨年度実施した会員所属企業に対するアンケート結果では有効性を含む効率性、企画段階が多かったのとは、かなり異なった結果となっている。
5.システム監査、SO認定制度とSO事業との関連
(1)システム監査の実施がSO事業の拡大に貢献しているか
a.そう思う:4社
b.そうは思わない:2社
c.どちらとも言えない:3社
d.その他:1社
直接拡大に結びつくとは思わないが、必要条件であると考える。

(2)SO認定の取得がSO事業の拡大に貢献しているか
a.そう思う:6社
b.そうは思わない:1社
c.どちらとも言えない 3社

(3)SO認定の取得のためにシステム監査の実施が条件になっていることは
a.当然:9社
b.直接的な関係はない:1社

●SO認定の取得はSO事業の拡大に貢献している、SO認定のためにシステム監査の実施が条件になっていることは当然である、という回答が大半であり、SO認定とシステム監査との関連は肯定的に捉えられていることが分かる。

(4)SO業務契約の中に、委託先から貴社へのシステム監査の実施条項が入っているか
a.入っている:2社
b.入っていない:8社

(5)SO業務の委託先から貴社へのシステム監査の実施実績
a.定期的:3社(2委託先から年1回が2社、1委託先から年1回が1社)
b.不定期:0社
c.ない:7社

(6)SO業務委託先から貴社へのシステム監査の内容
a.分野 安全性:1社、信頼性:2社
b.段階 運用:2社、保守:1社

●SO契約に委託先からの監査の実施が盛り込まれているケースは少なく、実際に委託先から監査を実施しているケースも少ない。今後のアウトソーシング事業の動向と関連して、大きな課題と言える。

6.システム監査の普及策
(1)社内での普及策
a.システム監査活動状況の広報活動:1社
社内報、グルーウェアによる情報提供
b.システム監査の必要性の社員教育:4社
c.その他:1社
システム監査の専門部隊が商品としてのプロモーションを行っている。

(2)希望
イ.ISO9000の認定企業が通産省または協会により優遇される認定制度を検討いただきたい。システム監査への取り組みが社会的地位を確保しなければ、システム監査の普及が推進されないと思われる。
ロ.システム監査人の絶対数を増やすため、システム監査技術者試験を現行試験とシステム監査実施技術者といった下位区分の試験の2本立てとするなど、システム監査人の育成を検討いただきたい。
ハ.通産省への要望:システム監査に気を付けている者はともかく、一般にシステム監査について知ることはほとんどないように見える。

−情報月間のイベントとして、もっと広くPRすることを要望
−金融機関など(大蔵省・郵政省など)とも連携をとったイベントとして実施。通産省だけでは他の関係者は関心なく、バラバラで効果が出ない。

最新更新日 1997年10月26日