NPO日本システム監査人協会(会長 宮川 公男)は、公認システム監査人認定制度を創設し、本年8月から本格的に認定申請の募集を開始することといたしました。
本制度は、1999年の通商産業省(現経済産業省)の産業構造審議会・情報化人材対策小委員会の提言を受けて新しく誕生した制度です。
1.本制度の意義
情報システムが社会の重要な基盤となっており、昨今の金融機関のシステム混乱をはじめ、行政の電子政府計画などにも見られるように、そのあり方が、当該企業、団体内のみならず、広く国民の生命、財産その他の諸権利を守る上で、大きな影響を持っていることは明らかであると思われます。
システム監査とは、情報システムの信頼性、安全性、有効性について、独立した立場から監査し、当該システムの責任者に報告し、あわせて、報告書の公表により、システム責任者の社会的説明責任を果たすことを支援するものです。
ただし、システム監査については、その実施、結果の公表を未だ法律では義務付けられておりません。従って、システム監査を実施する監査人についても、弁護士、公認会計士、税理士等の、いわゆる「士業」としての資格者制度は実施されておりません。
システム監査資格者の国家試験としては、現経済産業省(旧通商産業省)管轄の情報処理技術者試験制度の中に「システム監査技術者」部門があり、13年間に4,500人近い合格者がおりますが、これは能力認定にとどまっております。また、これらの合格者は、すべてが直ちにシステム監査の実務に従事できることが保証されているわけではありません。このため、ペーパー試験に合格しただけで、有効な実務経験の認定を受けていないとの批判がありました。
これらを受けて、当協会では、「システム監査技術者」を中心に、実務に応じられるシステム監査人を認定し、システム監査の実績をさらに積上げ、情報化社会の健全な発展に寄与しようとして、本制度の創設に踏み切ったものです。
認定対象者の範囲は、システム監査技術者が中心ですが、その他の高度情報処理技術者、中小企業診断士、公認会計士、技術士、CISA(アメリカに本部を置く情報システム監査人協会の認定取得者)にも、一定の要件を満たしていただければ、認定できる仕組みとしております。
そのための研修機関についても、協会が認めた機関の研修修了で、認定申請の要件を満たすこととしております。
2.経緯
当協会は、NPOになる前に、任意団体として、すでに13年の活動実績があります。この間、経済産業省にもご指導を仰ぎ、本制度も、産業構造審議会情報産業部会情報化人材対策小委員会の平成11年6月の中間報告を受けて実施しようとしているものです。
具体的には、同報告の中にある「システム監査人がユーザ(この場合、システム監査をうけようとするものを指す)の信頼を得るためには、単なる知識等に習熟するのみならず、実践的監査経験を積むことが重要である。この観点から、従来より実施している情報処理技術者試験(システム監査技術者試験)に合格した上で、一定の有効な実務経験を積んだことを確認することにより、システム監査人として認定する制度の創設を検討する」を受けています。
制度の詳細については末尾の資料1、同じく経緯の詳細については末尾の資料2をご参照願います。
3.協会の現況
個人会員、750名、法人会員18社です。法人会員は、経済産業省に、システム監査の実績を付して、システム監査企業として台帳に登録、公示されている企業が中心ですが、NPO設立後は一般の法人の加入も増えています。
個人会員は、システム監査技術者が中心で、情報処理業務経験者が多いのですが、公認会計士、弁護士、税理士、中小企業診断士など、他の資格保持者も擁しております。
協会では、任意団体の時から、実務者団体として、監査実務を経験するための各種事業、研修や監査能力向上のための研究会等を実施し、すべて会員のボランティアでの事業運営を展開して参りました。
役員、実施事業その他については、こちらのページ(SAAJのご案内)を、ご参照願います。
以上
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